2022年10月7日に配信開始された、Netflixオリジナルの新作映画『私は世界一幸運よ』を見ました。
暇つぶし程度で見たつもりが、飽きることなく引き込まれてしまう良作でした。
サクッと感想を書いていきます。
※ある程度のネタバレあるので注意です。
Netflix『私は世界一幸運よ』作品情報
主人公アニは、完璧な人生を送っている様に見えるエリート女性。 非の打ちどころのない恵まれた人生を送っているように見えるアニだが、その裏には学生時代に起きたショッキングな事件からなるトラウマが。。 トラウマから目をそらしながら生きる彼女だったが、犯罪ドキュメンタリー映画の監督からの出演依頼により真実に向き合わざるを得なくなる。。
ジャンル:トラウマと向き合う型ヒューマンドラマ
- ミラクニスの主な出演作品
- ブラックスワン(主演ナタリーのライバル役)
- テッド(主人子の彼女役)
Netflix『私は世界一幸運よ』の評価・感想
個人的評価
4.0
3.5
タイトルからは想像できない意外な展開
「よくあるサクッと見れるエリートのサクセスラブコメストーリーかなぁ。」と言ったイメージで、事前情報無しになんとなく見てみたのが、この映画を見たきっかけでした。
開始から数分までは、そんなイメージ通りにストーリーが進んでいたのですが、進むごとにタイトルからは想像できない重い題材をテーマにした作品だと気づき、びっくり。
Netflixオリジナルの映画って途中で飽きてしまい、途中で寝落ちしてしまう事も多々あり全く期待していなかったんですが、視聴後にほんのり残るカタルシスもありました。
映画の表面的に見えるテーマは、「女性への性暴力が軽視される社会問題」を題材にしたものですが、性暴力に限らず、全体的な『トラウマ』を持つ人への解決策も提示できたものにもなるのでは、と思います。
トラウマを持つ主人公の心の描写がリアル
「この映画に引き込まれた部分はなんだったのかなぁ。」と考えてみましたが、【過去のトラウマと現実の生活の結びつき方がなんだかリアルに感じた。】 ここが大きかったのかもしれません。
主人公アニの映画内で出てくるトラウマ(心のひっかかり)を端的に言うと下記の3つ。
- 学園内銃乱射事件の生き残り
- 男友達による集団レイプの被害者
- 毒親
毒親から始まり、大学内での悲惨な事件をトラウマに持つ主人公アニですが、大人になったアニはトラウマに囚われて苦悩し、身動きが取れなくなって悲劇のヒロインに陥っているいるわけではありません。
寧ろ、アニの人生はトラウマにより立ち止まる事はなく、努力と才能で誰もがうらやむようなものを獲得(社会的には)し、全てを乗り越えたかのように見えます。
婚約者にも自分の過去を隠すことなく、打ち明けており、(すべてを理解しているわけではないが)受け入れてもらっています。
だけど、ふとした瞬間にトラウマから巻き起こる激しい感情の動きが発作のように出てしまい、完全に無かった事のように忘れ去って生きる事ができているわけではありません。
タイトルの『私は世界一幸運よ』の通り、「私は大丈夫。すべて持ってる」と気を張って言い聞かせながらも呪いを背負って生きています。
トラウマの大小はあるだろうけど、大多数の人が共感できるのではないでしょうか。
乗り越えるのではなく受け入れる
ストーリーが進むにつれ、アニは犯罪ドキュメンタリー映画の監督に勧められ、過去のトラウマの一つである「銃乱射事件の生き残り」として当時の状況を振り返ざる得ない状況になります。
最初は頑なに拒否するアニでしたが、取り巻く様々な状況から取材を受け入れる事に。
そして、その中で葛藤がありながらも、徐々に「乗り越えようとしていた自分」→「受け入れる自分」にシフトしていく事になります。
「さらけ出す事=受け入れる事=トラウマから解放される事」なのかはわかりませんが、作品内では取材により全てをさらけ出したアニは、新しく生まれ変わったようにも感じました。
ただ「新しい自分」になるためには、今までのトラウマを抱えてきた人生で集めてきたものを手放す必要もあり、そこらへんも描かれています。
まとめ
完全に個人的な見解ですが「手放す」が最初ではなく、「さらけ出す」→「手放されていく」という順序なのかな。と、ウーンと考え込んだりもする良い映画でした。
ストーリーはもちろん、作品自体のテンポも良く、ほどよく刺激的でいつの間にか見終える事のできる、Netfkixオリジナルでは久々の良作映画でした。
女性が見るとより共感できるでしょうし、男性が見ても広い視野で見れば共感は可能だと思います。
ヒューマンドラマ系を敬遠していたようにもオススメです。