Netflix『スイマーズ:希望を託して』の評価と感想。実話を基にしたシリア難民の姉妹の物語。

ネットフリックスのオリジナル映画『スイマーズ:希望を託して』の評価と感想です。

原題は『The Swimmers』。
邦題ってなんでこういう「希望を託して」とか入れるんでしょうね。

目次

『スイマーズ:希望を託して』の作品情報

あらすじ

水泳でのオリンピック出場を夢見るシリアの姉妹。しかし彼女たちの故郷を戦禍が襲う。国を失い、難民となりながらも、リオ五輪を目指し続けた。 水泳への情熱が描き出す、実話に基づくヒューマンドラマ。

タイトルスイマーズ:希望を託して
公開/国2022年/イギリス
時間135分
監督・脚本監督:サリー・エル・ホサイニ、脚本:ジャック・ソーン
出演マナル・イッサ、ナタリー・イッサ、マティアス・シュヴァイクホファー、アフマド・マレック、アリ・スリマン
日本語吹替なし・字幕あり

【ネタバレなし】『スイマーズ:希望を託して』の評価と感想

個人的な評価

評価 :4/5。

4.0

Filmarks

評価 :4/5。

3.9

2018年に出版されたユスラ・マルディニさんの自伝『バタフライ』を映画化した作品。

イギリス制作ですが、シリア・トルコ・ギリシャ・ハンガリー・ドイツが舞台。

実話に基づいた内容だが、退屈せず目の離せない展開

実話を基に制作されているだけに、非常にリアリティがありドキュメンタリー作品を見ているよう。

激しいアクションシーンなどはありませんが、現実に起きていることだと思うと目が離せず最後まで退屈することはなかったです。

非常にリアルで過酷な内容ではありますが、気分が落ち込む暗い作品ではありません。
映画の出来も良く、ぜひ一度見てもらいたい作品です。



物語の主人公は姉のサラ・マルディニと妹のユスラ・マルディニ。

元水泳選手の父親によって、オリンピックを目指す水泳選手として育てられてきました。

オリンピック出場を目指すため戦禍の中でも練習を続けていた二人ですが、ついに練習さえ出来なくなり家族を説得して親戚のニザールと一緒にドイツを目指すことになります。

過酷なシリアの状況

序盤からかなり印象的だったのが、ニザールがDJをしているクラブのシーン。

ふたりを含めた若者たちはお酒を飲んだり踊ったりして楽しんでいるのですが、外が見える場所では街にミサイルが撃ち込まれています。
それでも若者たちは気にせず踊っており、これが日常なのだと感じさせられました。

その直後にも、友人が爆撃で死んだことをSNSで知り「もう帰ろう」というユスラに対して「こんな時は遊ぶの」と言うシーンも。

シリア脱出、そして海を渡ってギリシャへ

シリアを脱出した後はトルコを経由し、「手配師」と呼ばれる密入国を斡旋する業者によってエーゲ海を渡ろうとするサラたち。

どう見ても海を渡るためのものではないゴムボートに乗せられ、業者は残り難民たちだけで出発。
本当にこんなボートに乗せられているのか?と思ってしまいますが、実際に起きていることだそうです。

エーゲ海を渡ってからも、ドイツへの道は遠く苦難が続きます。


中東やアフリカからの難民の現状を知ることが出来る非常に見応えのある作品。
ぜひ見て欲しいと思います。

ここから先はネタバレありです。まだ見ていない方はご注意ください。

【ネタバレあり】『スイマーズ:希望を託して』の評価と感想

劇中でもリオ五輪に出場していたユスラ・マルディニさんは、『バタフライ 17歳のシリア難民少女がリオ五輪で泳ぐまで』という自伝を出版しています。

リオに続き、2020年の東京オリンピックでの難民選手団の一員として来日されたそう。

この映画はその自伝を元に制作されており、姉のサラさんも劇中でも語っていた通り難民を支援する活動をされているそうです。


映画のトレーラーを見た、実際のユスラ・マルディニさんの反応をNetflixが公開しています。

「人生は不公平」「もう何人でもない」

シリア代表として出場することにこだわるユスラに、サラが言ったこの言葉が印象的でした。

悩むユスラの背中を押して、先に進むユスラを見たサラもやりたいことを見つけていく。

姉妹の絆が感じられるシーンでした。


それにしてもサラとユスラの才能を見抜き、住まいまで用意してくれたスヴェンは何者だったんでしょうか。
スヴェンの素性についてあまり説明がなかったので気になりました。

水泳を教えてくれて、住む場所の面倒も見てくれて、姉妹がワガママ言っても怒らない。

こんな聖人みたいな人と偶然出会ったのか?と疑問に思ってしまいました 笑

まとめ

難民がハンガリーなどの中欧を経由し、ドイツへ向かっている状況はニュースで何度か目にしたことはあります。

ドイツが難民を大量の受け入れていたことはなんとなく知っていましたが、劇中のようにバスで迎えに来たりちゃんと住めるスペースを用意したりと、思った以上に難民の受け入れに力を入れていたことに驚きました。

当時の首相だったメルケルさんが決めたそうですが、なかなか出来ることではないですよね。


リオ五輪の後、無事にシリアにいた家族とドイツであることが出来たそうで、現在は家族全員ドイツで暮らしているとのこと。

実話であること、実際に起きている問題がテーマであることもあり、とてもリアリティのある考えさせられる映画でした。

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