2022年10月に配信された、ネットフリックスのオリジナル映画『ムッソリーニの財宝を狙え』のレビューです。
原題は『Robbing Mussolini』。
第二次世界大戦末期のミラノを舞台にした史実に基づく作品です。
前半はネタバレなし、後半からはネタバレありとなっていますので、これから映画を見る予定の方はご注意ください。
『ムッソリーニの財宝を狙え』のあらすじとPV
第二次世界大戦末期、泥棒のイソラ(本名はピエトロ・ランベルティ)を中心とした寄せ集めチームが企てた大胆な計画。それは、ミラノにあるファシストの庁舎から、ムッソリーニの財宝を盗みだすこと。
【ネタバレなし】『ムッソリーニの財宝を狙え』の感想
個人的な評価
3.5
財宝はおまけ?ロマンスの方が印象に残るアクション映画でした。
映画の冒頭で「史実に基づくほぼ真実の物語」と書かれていますが、コメディ的な要素もあるためかどのあたりまでが史実に基づくのかがよくわかりませんでした。
ムッソリーニの財宝を狙った彼らのような集団が実際にいた、というところでしょうか。
タイトルからすれば、ムッソリーニの財宝を奪うために綿密な計画を立て実行に移すというのがメインテーマだと思います。
しかし、そのわりに登場人物のロマンス要素に結構な時間が使われていたり、コメディ的な表現が随所に入っているせいもあってかシリアスな場面も軽く見えてしまったのが残念でした。
結果的に登場人物にあまり感情移入できず、盛り上がりに欠けてしまっているように感じました。
主人公であるイソラ、敵の幹部ボルサリーノ、ボルサリーノの妻ノラ、イソラの恋人でもありボルサリーノの愛人でもあるイボンヌ。
この4人の関係の方が印象に残り、肝心の強奪計画は気付いたら終わっていた印象です。
全体的に中途半端で、もう少し財宝を狙うエピソードに比重を置いた方が良かったんじゃないかなと思います。
とはいえ、映画自体の時間は90分と短めで見やすいのは間違いないです。
上記の通り重い作品でもなく、決して駄作ではないのでなんとも評価しにくい作品です。
スナイパーのマルチェロおじさんが終始カッコいいので、そこは加点ポイントです。
ここから先はネタバレありです。まだ見ていない方はご注意ください。
【ネタバレあり】『ムッソリーニの財宝を狙え』のストーリーと感想
序盤のストーリー
第二次世界大戦末期のイタリア、ミラノ。
国家の首相(統領)のベニート・ムッソリーニと国家ファシスト党は独裁的な統治を行っていました。
そんな状況の中、兵士や民衆でごった返す中を歩くイソラ(本名はピエトロ・ランベルティ)。
彼は映画館で恋人である女性イボンヌと密会し、パルチザン(反政府勢力)との取引についての情報を確認します。
「危ないわ。なぜ危険を冒すの?」と心配する彼女にイソラは「君のためだ。金がたまったら逃げよう。」と告げます。
イボンヌと別れ、その夜にパルチザンのメンバーと取引を行うイソラですが、その現場に政府軍が乱入。
パルチザンとの銃撃戦がはじまってしまいます。
銃撃戦のド真ん中を這いながら金を拾おうとするイソラを見て「そんなバカな」と言いたくなるシーンから物語は始まります。
その事件の後、チームの仲間でイソラの育ての親でもあるマルチェロは、軍の暗号文を傍受します。
同じく仲間のアメデオがその暗号文を解読したところ、ムッソリーニと一部の幹部たちが7日後にスイスへ亡命しようとしていることがわかりました。
そしてその際には国民から奪った財宝を持っていくことも記されており、イソラたちは財宝を奪う計画を立てはじめます。
その計画を実行するために彼らはチームの仲間集めをはじめる・・・というのが序盤の展開。
感想
全体的にとにかく中途半端な印象を受けました。
映画の時間が長ければそうでもなかったのかもしれませんが、短い時間の中で財宝を狙う計画に関するシーンと登場人物のロマンスに関するシーンが同じくらいあったように感じました。
もう少し強奪計画に関わるシーンを多くして、ロマンスのシーンを少なめにした方がまとまりが良かったように思います。
特にチームの仲間を集めるシーンでは、3人の仲間を集めるのに紹介から合流まで10分もかかっていません。
テンポが良いとも言えますが、あっさりしすぎて仲間に感情移入できませんでした。
ストーリーは全体的にわかりやすいのですが、後半のノラが訪問してくるシーンはちょっと意外でした。
以前からノラとレオニダには計画がバレており、アジトにも盗聴器が仕掛けられていました。
ボルサリーノを憎んでいたノラは、計画を秘密にした上でイソラたちの知らない情報を流す代わりに財宝を山分けにしろと提案してきます。
もともと計画に反対していたイボンヌは、ノラと協力することに猛反対しますが、協力することを決断。
数日後、計画を実行するイソラたち。
モロトフを失い、ヘッサも撃たれてしまいますがなんとか財宝の強奪に成功します。
強奪した後はノラとレオニダに裏切られるお決まりの展開。
このシーンはちょっと疑問に思うところがありました。
裏切られたイソラたちは隙を見てノラを人質に取りますが、代わりにレオニダはイボンヌを人質に。
イソラたちは武器を捨て降伏、という流れなのですが…。
なんで人質バトルであっさり負けを認めるの!?
ノラVSイボンヌではノラじゃ釣り合わないから解放したってこと?
どっちも人質を取ってたら普通は人質交換じゃないのか、とモヤモヤしながら見ていました。
まあとにかく、その後はイボンヌを連れて逃げた相手を追いかけて一応ハッピーエンド。
その後、なんとか逃げ出したノラが走ってきて倒れるところで終わるのですが、どういうことだったんだろう。
力尽きて倒れたとしては、直前まで結構元気そうに走っていたように見えるけど・・・。
生き延びたということならまさかの続編フラグ??
作品情報・批評サイトの評価
タイトル | ムッソリーニの財宝を狙え |
公開 | 2022年 イタリア |
時間 | 90分 |
監督・脚本 | 監督&脚本:レナート・デ・マリア |
出演 | ピエトロ・カステリット、マティルダ・デ・アンジェリス、フィリッポ・ティーミ、イザベラ・フェラーリ、トンマーゾ・ラーニョ |
日本語 | 吹替音声なし・字幕あり |