2022年の2月、春節に公開された中国映画『素晴らしき眺め』が、6月1日よりネットフリックスで配信開始。
原題は「奇迹 – Nice View 」。
中国語音声のみで日本語吹替はなし、日本語字幕はあります。
評価も高いようだったので気になって見てみました。
前半はネタバレなし、後半からはネタバレありとなっていますので、これから映画を見る予定の方はご注意ください。
『素晴らしき眺め』のあらすじ&PV
主人公は20歳のハオ。
6歳の妹タンタンと二人暮らし。
2人を育てていた母親が心臓病で亡くなり、大学生だったハオは大学を中退。
タンタンを養うために深圳でスマホ修理の仕事をしています。
妹のタンタンも母と同じく心臓病を患っており、8歳になるまでに手術をしないと大変なことになるかもしれない。
そんな時に、友達からスクラップとして売る予定の不良品スマホをまとめて買い取らないかという話が舞い込んできます。
そのスマホを修理して一獲千金を狙うハオでしたが、様々なトラブルが発生して…というストーリー。
【ネタバレなし】『素晴らしき眺め』の感想
とても面白かったです!ぜひ多くの人に見て欲しい映画です。
物語としてはわりとありがちな展開なんですが、テンポが良く時間も2時間を切っており見やすいです。
映像も美しく、全体的によくできた映画だと感じました。
登場人物もみんな個性的で、誰が誰かわからないということもありません。
ただ、見る前にレビューを見ていたら「泣ける」という感想がいくつかありましたが、個人的にはそんなに泣ける感じはなかったかな。
舞台となる街は深圳。
街の名前はよく聞きますし高層ビルが立ち並ぶ都会ということも知っていましたが、実際に行ったことはないので街並みなどとても興味深く見ることができました。
ヤフー、映画.com、Filmarksなど国内サイトではまだ評価がありませんでしたが、Googleでは93%の高評価となっています。
キャストについて
ハオ役のイー・ヤンチェンシーは中国のTFBOYSという3人組アイドルグループのメンバー。
イー・ヤンチェンシーはこの映画で、これまでに出演した5本の主演映画の興行収入が100億元(約1800億円)を突破。
歴代最年少で「100億元俳優」となったそう。
今年3月には21歳にして、北京に1億元(18億円)の別荘を購入したことでも話題になったそうですが…。
21歳で18億円の家ってすごいですよね~。
どんな家か想像もつきませんが 笑
監督は『薬の神じゃない!』のウェン・ムーイエ。
『薬の神じゃない!』はネットフリックスでも配信されており(現在は配信終了)、実話を元にした評価の高い映画です。
気になった方はこちらもぜひ。
ここから先はネタバレありです。作品を見ていない方はご注意ください。
【ネタバレあり】『素晴らしき眺め』の感想
大量のスマホを修理して一獲千金、しかし…
妹の手術台50万元(1000万円)を工面するために、友人から10万元で深寧電子の不良品スマホを大量に購入することを決めたハオ。
購入する資金を集めるために自分のスマホ修理の店を担保に借金をします。
さっそく知り合いの業者に商談に行くと、なんと全部で90万元(1800万円)で買い取ってくれるという。
喜ぶハオでしたが、半月後に政府によって規制が強化され、再生スマホが違法となってしまったというニュースが。
買い取りの話もなくなってしまい、不良品スマホと借金だけが残ることになってしまいます。
しかし、自分なら一獲千金はともかく2000元(4万円)も返せない友人からのうまい話には乗りたくないですね…。
メーカーに直談判、工場設立
途方に暮れるハオは、スマホの製造する深寧電子に、修理したスマホを買い取ってくれるよう交渉に向かいます。
正規の再生スマホとして売れば儲かる、新たな産業リンケージになりますと経理担当者に交渉しますが、無下にされてしまいます。
産業リンケージというものがよくわかりませんが、アップルも公式サイトで整備品として修理したiPhoneを販売していますよね。
あれに似た感じでしょうか。
諦めきれないハオは、借金の取り立て人に1週間待ってくれたら深寧電子に手付金をもらって金を返すと約束します。
スマホを修理し、品質検査で合格した書類を持って再び深寧電子に交渉に向かうハオは、CEOに直談判。
度胸がある、とチャンスをもらいますが、手付金はもらえず店は手放すことになりました。
仕方なく以前就いていたビル掃除のアルバイトを再開することに。
さらに友人のヨンチェンを説得し、スマホの修理工場を設立。
工場の契約にもついてきてくれて、掃除や内装も手伝ってくれます。
このヨンチェンさんがめちゃくちゃいい人。もう顔からしていい人です 笑
信頼できる友人は大切ですね。
工場の稼働、更なるトラブル
工場も出来上がり、人手が必要なハオは後払いでも仕事を請けてくれる仲間探しに奔走。
個性的な人間ばかりですが無事工場を稼働する準備ができました。
その後も大量のスマホに目を付けた違法業者や従業員のトラブルに見舞われ、なかなか思うペースで作業できない中、滞納していた家賃が原因で住んでいた家を追い出されることに。
昼はビル掃除、夜はスマホ修理と忙しい中、ヨンチェンの職場や工場など泊まる場所を転々とすることになってしまいます。
そんな中、深夜に以前訪れた違法業者がスマホを盗みに入ってきます。
必死で追いかけ、なんとか止めることが出来たものの指に大怪我を負うことに…。
スマホの修理はなんとか出来ますが、ビル清掃の仕事を失ってしまいます。
収入を失ったことで工場の家賃を払えず、工場も追い出されさすがに諦めかけたハオ。
しかし、給料は後払いでもいいからやろうと言ってくれる仲間たちに励まされ、それぞれの家で作業を続けることになりました。
工場を失い、最後の追い込みへ
仲間たちの頑張りもあって、なんとか期日までに作業を終え品質検査も無事クリア。
ハオが品質検査の結果を聞きに行く前に、タンタンが「落ち着いて、お兄ちゃんなら大丈夫。」と言った場面が印象的でした。
期日通りに条件をクリアしたハオを信用した深寧電子のCEOは、今後は正式に提携する、と巨額の契約を提案。
「今回は手付金は出ますか?」というハオに対して、CEOは「出す」とはっきり答えます。
CEOとの面談を終え、エレベーターに乗ったハオたち。
そこでやり遂げたことを実感し喜びを爆発させます。
宣材にも使われているこのシーン。この映画で最高の場面です。
まとめ
ネタバレなしの方にも書きましたが、本当に良く出来ており面白い映画でした。
主演のイー・ヤンチェンシーのほかの作品も見てみたくなりました。
中国でのタイトルが「奇迹・笨小孩」というそうで、グーグル翻訳してみたところ意味は「奇跡・愚かな子」。
愚かな子、というか意味としては愚直という感じみたいですね。
地道に頑張る人間は報われる…という感じだと思いますが、横流しされたスマホを修理して大儲けというのは地道に頑張るとはちょっと違う感じも。
それにしてもハオがハードワークすぎるので、過労で倒れるベタな展開か?と思ったけどそれはなかったので良かったです 笑
ハオたちのその後を描いたラストシーンが終わると「新時代に向かい健闘する君に敬意を表して 誰だって奇跡を起こすことができる」というメッセージが出てきますが、こういうポジティブな気分になれるメッセージで締めてくれるのはいいですね。
映画の主題歌を出演者が歌う動画。映画を見た後にぜひ。
タイトル | 素晴らしき眺め |
公開 | 2022年 |
時間 | 106分 |
監督・脚本 | ウェン・ムーイエ |
出演 | イー・ヤンチェンシー(Jackson Yee)、ティアン・ユー、チェン・ハーリン、チー・シー、コン・レイ |
日本語 | 字幕のみ |